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2009.09.01 *Tue*

*短編02 「こんな日は思い出す」*

キミは今、どこにいるんだろう。


*短編02 「こんな日は思い出す」*


キミは僕と初めて出会った日を、今も覚えてるかな。

僕?僕は覚えてるよ。

その日は数年に1回のお祭りの日で。村の特産品のワインの豊作を神さまに感謝する日だった。

僕は10才だった。キミは僕よりも年上で12才だったんだよね。
ずっと大人びて見えたから、もっと年上かと思ってたんだ。

天気はあいにくの曇りで。それでも豊作だった喜びで村のみんなは浮かれてたんだ。
僕の父さんも母さんも。僕はお祭りだっていうだけで楽しかった。
僕にとっては初めてのお祭りだった。

「こら!ルク!!あんまりウロウロするんじゃないの!迷子になるでしょう!」

「まぁまぁ母さん、いいじゃないか。ルクには初めての祭りなんだ。
 なぁ、ルク。父さんと探検しようか?!」

僕の父さんは顎鬚が生えてて、最近少しお腹が出てきた事を母さんに言われて気にしてるんだ。
母さんは村で1番の美人なんだ!最近よく怒られるけど、大好きなんだ。

「うん!ここにお城があるんでしょう?!僕そこが見てみたい!」

今年のワインは豊作だったうえに、味もけっこうよかったらしい。
僕達の村の近くの街がそのワインをたくさん買ってくれるらしいんだ。
そして一緒にお祝いしようって事になったらしい。お互い感謝の交換だって。

僕達村のみんなは招待されたんだ。僕にしたら初めての大きな街だった。
この街の人達とは昔からの親交があったらしい。
元々は1つの街だったらしいけど、昔大きな災害があって街が分断されたんだよ、って父さんが言ってた。

「よし!じゃあお城を見にいくか!大きいんだぞ、ここのお城は。」

石で出来た家がたくさん並んでいた。街の入り口の近くには大きな噴水というもがあって。
街の中央では大きな机が並べられていて、見たことのない食べ物がいっぱいだった。
みんなワインを飲みながら楽しそうにしていた。

そして僕の目の前に見えたのは大きな大きな石の白い建物だった。
屋根だけが赤くて、すごくキレイだった。

「…おっきーなぁ!!!父さん、これがお城??」

「おぉ!大きいだろう?!今日は中にも入れるらしいぞ。入るか?」

「行く!!!」


大きな門をくぐって、大きな扉から中に入った。何もかもが驚きだった。
床が石だったのがおかしかった。座ったら冷たいし、雨の日は滑るのに。
でも、掃除は楽かな。ツルツルだから。

真正面には長い階段があった。こんなに長くて疲れないのかな。

「……は……豊作で……ほっほっほっほっほ…」

遠くで声がした。見てみると父さんよりも長い白い顎鬚の生えたおじいさんがいた。

「ルク、あそこにいてるおじいさんがこの街で1番エライ人だよ」

でも僕の視線をさらっていったのはおじいさんの傍にいてる女の子だった。
長い黒髪、遠目からでもわかるかわいい顔をした女の子。
おじいさんの横で静かに笑っていた。
今思うと、これがいわゆる一目惚れというものだったのかな。

僕の視線に気が付いたのか、僕の方を見て笑顔をむけてくれた。

「……っ!!!!!」

「ん、どうした?ルク。……あ~あの女の子はあのおじいさんのお孫さんらしいぞ。」

「う、うん。」

横で父さんは色々説明をしてくれたけど、僕の耳にはほとんど入ってなかった。
意識はずっとキミを追ってた。

「…よし。じゃぁそろそろ戻るか。母さん1人にしとくのも悪いしな」

「……うん。」

父さんに連れられてお城を出た。僕はずっとキミを意識してたんだ。
名前はなんていうのかな、とか。
何して遊ぶのが好きなのかな、とか。

そんな事を考えながら中央の広場に着いた。

「到着だ。あんまりウロウロするんじゃないぞ。迷子になるからな?
 父さんは、母さんを探してくるから、ここで待ってるんだよ?」

そう言うと僕を噴水の近くのイスに座らせて母さんを探しに行った。

僕は辺りを見渡した。
肩を組みながらワイン飲んでる人、ご飯を食べてる子、僕みたいに1人で親を待ってる子。
色々いた。

そんな中、人ごみの中にキミは現れた。
人はたくさんいたのにキミだけがハッキリと見えた。
僕は無意識に立ち上がって後を追っていた。

裏の路地に入って、細い道を通って。中央とは少し雰囲気が違った。静かだった。
それでもキミは気にしないで進んでいった。

やがてたどり着いたのは小さな川辺だった。辺りにはコスモスの小さな花畑があった。

こんな大きな街でも花畑なんてあるんだな。僕はそう思った。

「キレイでしょ?」

「……っ!!」

ふいに言葉をかけられて僕は驚いた。

「私に何か御用??」

キミは優しい笑顔を向けながら聞いてきたんだ。

「え…、あ…ううん。用はないんだけど…」

気が付いたらキミの後を追っていたんだ、なんて言えなかった。

「そうなの?ふふ。変なの。」

コスモスの花畑の中でキミは僕に微笑んでくれた。凄く、キレイだった。

「あなた、お名前はなんていうの?私はシルク。シルク=イラヴァーティ」

「ルク…ルク=メルカル」


これがキミとの初めての出会いだった。

あれから僕達は毎日のように会って遊んだね。
ブドウが木に生ってるのを見るのが初めてだったり、釣りをしたことがなかったり。
キミの驚いた時の顔を見たり、キミの知らない事を教えてあげれることが僕は嬉しかった。


こんな曇りの日は思い出すんだ。キミは今、どこにいるんだろう、って。


07.4.12

----------あとがき----------

私の中で看板息子の「ルク」と看板娘の「シルク」の出会いのお話です。

このあとの2人の運命の別れが悲しくて。。。。
って、まだ書いてません、すいません。。。




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