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2009.09.01 *Tue*

*短編01 「ここにいたんだ ずっと」*

ずっと待ち焦がれていた。私という存在をみてくれる人を。


*短編01 「ここにいたんだ ずっと」*



紅い。暖かい温風を体に感じる。

あたり一面は紅く、ところどころは黄金色のようにも思えた。
さきほどまでは静かな都市だったのに。
私が呼び出されるまでは。

私に名前はない。
私を呼ぶものは「灯の鳥」と呼んだ。
いつ、うまれたのかもわからない。どこでうまれたのかも、わからない。
気が付けば、「人」や「神」「悪魔」いろいろな種族というものをみてきた。


先日、私を呼び起こしたのは「人」だった。

皆、私を不死身の不死鳥だといい、私の血を求めてくる。
私以外の存在にしてみれば毒たというのに。
そして死は私にも訪れる。


「ふはははは!!!!これは絶景よ!!我が国に刃向かった国が燃えておるわ!!!」

私を呼び起こし者。どこぞの国の王だとか。
この者がどうしてこの場所を灰にしてほしいのか、私には興味はなかった。
いつもの事だったからだ。
ほとんどの者が「あいつらの国を滅ぼしてくれ」だとか「あの種族は我々には凶器なのだ」とか。
そんな理由だったからだ。

…もう聞き飽きた。

辺り一面を灰にして、燃やし尽くして。もはや誰かの悲鳴にさえも動揺しなくなっていた。
そして次に言ってくるのが。

「お前の不死身の血を渡せ」

これは「人」という種族に限ってだが。
他の種族の者はそれがどんなに無駄なことか知っているようだった。

そんな事をしても不死身にはなれない。
私の血にはそんな力はないと何度説明した事だろう。


私は不死身ではない。
私の血を飲めばたしかに「人」という種族の者にすれば永い時を生きられるだろう。
「灯の鳥の生き血を口にし、長く生きた者が狂気して、最後には国そのものが滅んだ」
という話を耳にした事があるだろう。
長い時間生きることに耐えれる器ではないのだ。人という存在は。

そして…私に死が訪れた時、私の生き血を飲んだ者にも死が訪れる。

しかし、この者もやはり諦めきれなかったのだろう。

「誰でもいい!こやつの生き血を我の前に捧げよ!!!」

私のまわりに刃を持った者達が集まってくる。

「でもこいつ、不死身なんだろ?どうやって生き血をとるんだ?」
「体の1部でも切断してそこからとればいいだろ。」
「王に捧げれば昇格出来るかもしれない!!」
「オレが飲めばオレが新しい王だ!!!」

口々に言い始めた。

なんと哀れな。

「人」が一斉に襲い掛かってくる。
私は目を閉じた。
そして願った。
これから命尽きるであろう者達、関係のない者達、巻き添えをくらった者達が安らかに眠れますように、と。

次の瞬間。
私の体が紅から蒼にかわり、蒼い炎を辺りに吹き荒らした。
それはあっという間に何十、何百キロと吹き荒れた。
何度しても自分ではコントロールが出来ないのだ。
今まで私のまわりにいた者達や、私を呼び起こした者も、灰にすら残っていなかった。

私の周りに広がるのは静寂のみ。そしていつも流れる一滴の涙のみ。

何度この光景を見ればいいのだろう。
何度こんな思いをすればいいのだろう。


「うひゃぁ~さっきの凄かったね~」

私は驚いた。
今まで1度でも、あの蒼い炎を出して誰かが存在していたことなんてなかった。
見たところ、普通の「人」だった。

「黄金の翼に、体長は…2メートルぐらい、かな?思ったよりも小さいね。」

黄色のお尻まであるであろう長い髪をなびかせ、健康的な体をした彼女は臆することなく私に近づいてきた。

「へぇ。瞳の色は真紅なんだね。あは。あたしとおんなじだね。
 ね、さっきの蒼い炎、何?スゴイ威力だよね。」

私は言葉を出せなかった。何故だろう。
嬉しかったのかもしれない。
私の存在に耐えれるものがいたことが。

「ねぇ、聞いてる?アンタがウワサの灯の鳥でしょ?
 あたしずっとアンタの事探してたんだよ。
 ね、あたしのペットになってよ」

…ペット?私を飼うというのか?この者は。

『私のさっきの力を見て恐怖感はないのか?気に入らなければすぐに殺されるのだぞ。』

私はこいつの意識に話かけた。

「別に怖くはないよ。ねぇ。だからいいでしょ?あたしのペットにならない?」


初めて笑ったような気がする。こんな事を言ってくる者がいるなんて。

「へぇ。灯の鳥でも笑うんだねぇ~なんか意外かも。」

この者はアシーラという名らしい。1人であちこちを旅しているそうだ。

「ねぇ!ねぇ!
 アンタが一面を焼き尽くした後の場所に必ず湖があるんだけどさ、それもやっぱりアンタがしてるの?」

人は気がついていたようだった。
辺りを焼き尽くしてしまった私からのせめてもの償いの行為に。

「あたしさ、その湖のおかげで助かったんだ!
 アンタの事、血も涙もない悪魔だっていう人もいるんだけどさ
 その湖の水飲むと、不思議と怪我の治りが早くてさ!」

それは知らなかった。

「きっとこの湖は灯の鳥が後悔して涙したものだって思ってさ。
 だから助けてあげたかったの!
 もう後悔しないですむようにって!!
 だからさ、あたしと一緒に旅しよ?
 アンタの事、利用する悪い奴ばっかりじゃないって事、教えてあげたかったし、
 焼き尽くした後の場所が今ではどうなってるかもみてほしいんだ。
 そりゃぁ、アンタの事恨んでいる人もいるけどさ。でも救われた人達だっているんだよ?」

私はなんとも言えない感情になっていた。
皆、私の事を道具のようにしてしか見てくれなくて、
関係のない者達を巻き添えにした私の事を恨んでいると思っていた。
なのに…救われた者達が??

「ダメなの?」


『私もみてみたい。人の世界を』



ずっと1人だと思っていた。
でも、私の事を見てくれる人がいた。今はそれだけでよかった。


私は

「ここにいたんだ ずっと」


09.1.7 少し修正



----------あとがき----------

私が昔からずっとあたためてきた「アシーラ嬢」と「灯の鳥」です。
初めてこの2人を表現しました。

アシーラ嬢はあっけらかんとしたイメージです。おおらか、大雑把ですかね。
灯の鳥はその存在のわりに消極的、冷めた性格なイメージです。

また続き、書けたらいいな、と思ってます。


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